どんな研究をしている?
既存の学域のみならず、多角的な視点から「まちづくり」を進めています。
ここでは主な研究の枠組みを紹介します。
ランドスケープとは…
公園や緑地だけを意味するものではなく、
地域の屋外環境全体を対象に、人と空間の関係を計画し、形づくり、育てていく分野です。
現代の暮らしでは、屋内で過ごす時間が増え、自然や地域の屋外空間との関わりが少しずつ薄れています。
スクリーンからグリーンへ——デジタル機器に囲まれた生活から、身体を通して自然や他者と出会う屋外空間へ。その転換を、ランドスケープ(造園)学の立場から考えています。
教育や福祉、地域のさまざまな活動は、それを受け止める空間という「器」があってはじめて息づきます。
空間は、人の営みを統合する器そのものです。社会学・教育学の知見も踏まえながら、ランドスケープという専門性を軸に、人のための空間のあり方を模索しています。
公園や校庭、地域の広場をどのように計画し、形づくり、日々支えていくのか。約100年前、大屋霊城は博士論文「都市の兒童遊塲」において、都市のなかに子どもの遊び場をどう位置づけるかを論じました。この問いは、いまもなお色あせることなく受け継がれています。
空間は、人が関わることで意味を持ち、時間とともに変化します。
その関係をどのように築き直していくかという視点から、子どもという存在に着目しています。
人と空間の関係を考えるうえで、計画・デザイン・管理運営を一連の流れとして捉えています。空間はつくって終わりではなく、日々の運営やルールの積み重ねのなかで育っていくものだからです。
その過程には、空間の使い方を学び合う営み、つまり教育的な側面も含まれます。安全と挑戦のバランス、自由とマナーの調整は、空間を通して経験され、共有されていきます。教育は別に存在するのではなく、空間との関わりのなかに埋め込まれています。
この視点は、地域と施設という二つのスケールから整理できます。
地域空間とは、公園や道路、学校周辺、広場などを含む、まち全体のつながりを指します。
子どもは一つの施設だけで生活しているわけではありません。家から道へ、公園へ、学校へと移動しながら、空間を横断しています。どこへ行けるのか、安全に移動できるのか、大人や高齢者とどのように出会うのか、自然とどの程度触れ合えるのか。こうした条件は、地域全体の構造に関わっています。
子どもの経験は、まち全体のつながりのなかで育まれていきます。そのため、個別の施設だけでなく、地域全体から見ていくことが重要になります。
一方で、公園や校庭、園庭などの施設空間は、そのネットワークのなかの個別の場です。
空間のデザインや植栽のあり方、遊具の配置、利用のルール、日々の管理運営は、人と空間の関係を直接形づくります。安全と挑戦はどう両立できるのか、自由はどこまで認められ、マナーはどこから求められるのか。こうした問いは、施設の現場で具体的に現れます。
施設での実践は、地域全体の価値観やルールとも結びついています。計画・デザイン・管理運営の各段階での取り組みが、地域のあり方を少しずつ形づくっていきます。
空間の側からだけでなく、子どもという存在の捉え方も重要な軸です。
子どもは「未来の大人」ではなく、いまを生きる住民です。地域空間の主体的な構成員であり、その地域の包摂性や公共性の質を映し出す存在でもあります。子どもが尊重され、参加できる空間は、すべての人にとって開かれた空間へとつながります。
同時に、すべての大人の中にも子ども時代の経験があります。その感覚や記憶を呼び起こすことは、空間を読み直すことでもあります。子どもという視点は、世代を超えて共有されうる経験の基盤となり、まちづくりの対話を深める媒介となります。
子どもは世代を分断する存在ではなく、世代をつなぐ存在でもあります。
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